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ブロードウェイミュージカル感想

Dear Evan Hansen 2017年トニー賞受賞作品


キャラクターの描き方ピカイチ。こーゆー人いる!こーゆーこと言う!というキャラクター設定と台詞のチョイス。

 ネット社会だからこそ、自分ブランディングにこだわり「知り合い」が多くいることも自分のポイントにする子、銃を持ってそうな危ない奴、ネット住人をやたら下ネタと絡めたがる奴、コミ障だけど意外と面白くて意外と文章が面白い子、とにかく理想の現実を生きようと良く解釈し、善人による善人のための社会だと信じて止まないお金持ち等々。

特に母子の会話で

母「何か話したいことある?…」

息子「いや、仕事で疲れてるでしょ」

母「話してないことない?」

息子「いつも仕事でいないから…」

母「I'm your mother! I'm right here!あんたの母親。ここにいるでしょ!目の前に。」

にはグサッと来た。



ネット上や理想の家族の中で必要とされる自分を演じていると言えることも、

毎日いる母親に面と向かって正直に話せない。理想の家族、オンライン上の架空の自分は話せる家族には進められる作り話も、目の前にいる母子2人で何でも分かち合ってきた母には言えない。一番信頼できるのもわかってるのに。

本音と、偽りの自分と、見せたい(期待されていると思ってる)自分と、それぞれがちゃんと歌で表現されていてとても面白かった。

 結局、自殺してしまった子の真実は何もわからないなら、途中でEvanに話しかける時も『やめろ!』『僕を忘れないで』等立場や態度がコロコロ変わる方が、Evanの頭の中の彼、Evanも探り探りのキャラクターだとわかっていいのではと思った。

このストーリーは、日本人の若者でも共感できることが多いと思う。


Hamilton 2016年トニー賞受賞作品


ブロードウェイならでは、唯一無二の芸術作品!

アメリカ建国の父のHipHop歴史ミュージカル。

舞台美術(盆と切り離せる階段、椅子と板等)も衣装も極めてシンプルで、人物ストーリーに集中できる。AndyBlankenbuehlerの振付がめちゃめちゃカッコイイ!ラップから展開する音楽、勢いあるキャスト、観客の熱気。生の醍醐味を味わう。

改めてこの作品は、diversed castingの先導役で、開幕から3年の間に色々な人種の人達がキャスティングされるようになったんだなぁと影響力を感じる


Once on this Island


イマーシブミュージカルと言われ1月6日の閉幕前に絶対観たかった。

島に訪れたように、劇場内は細かく装飾されてる。木(最後に要になる)が客席まで入りこんでいたり。洗濯物、料理、釣り、読書、山羊を連れてくる等、島の人々の日常にお邪魔。

 この演出、カリビアンダンスの振付、歌も凄い良かったけど、テーマ(格差恋愛)や台詞が一昔前(リバイバルだから)で、えっココでその対応/言い方!とつまづいちゃったので、カリブの島で聴く『遠い昔のおとぎ話』(語り継ぐ女の子の人形が象徴だったと思うが)感がもう少しあり、ザ・ファンタジーに割り切るところと島の日常の違いがもう少しあってもいいと思った。例えば最後、この昔話を聞いてた女の子と昔話の主人公が照明でフォーカスされてたけど、昔話の主人公と人形とお話の世界にして、女の子や私たちのいる日常に戻ってくるとか。



Prom



これは絶対ヒット!原作や映画がある物が多い中、イマドキなテーマを完全オリジナルでこんな面白くできるミュージカル舞台の力!

話は、ブロードウェイスターがナルシストのレッテルを剥がしに、ネットを賑わせてた『田舎町の女の子が大好きな彼女を誘ったら卒業パーティProm中止』の渦中にいるレズビアンの女の子を救いに行く!所から始まる。

 面白い設定、裏切られる展開、イマドキなテーマ(自分に正直が心打つ / マスよりSNS )、BWジョーク満載、とにかく音楽が楽し過ぎて台詞が面白すぎてあっという間。演出・振付はサムシングロットンやブックオブモルモンのCasey Nicholawで鉄板のコメディダンスミュージカル。振付に有名なBW振付が引用されてたり、この田舎町にツアー公演中のGodspellメンバーが、同性愛について聖書の捉え方を考え直して一肌脱ぐナンバーまで。音楽がノリノリなので、絶対楽しめる!3階席までスタンディングオベーション!


Frozen

ザディズニーミュージカル。Street the MusicalでJay Menta君が仕掛けてくれたマントが飛ぶ仕掛けもしっかり目撃しました。Resident directorの子と話し、


<番外編:オフブロードウェイの王様PUBLIC THEATERにて>


WildGooseDreams


 アメリカで暮らす妻と娘に仕送りしてる男性(父)と脱北し父に仕送りしてる女性(娘)が韓国の出会い系サイトで出会う。韓国の2人を軸に"接続"だらけのアメリカと"断絶"されてる北朝鮮が一部出てきて両極を見せる。

 家族の繋がりとは?

離れて暮らしオンライン上で必要最低限連絡するアメリカの妻と娘、全く連絡が取れず頭の中で会話し続ける北朝鮮の父。仕送り父さん=Goose Father、北朝鮮の父親が頭の中でペンギンに🐧(翼をくれー飛ばせてくれーなんでお前は飛んでいった?と祟られる)など比喩的描写も面白い。

 着信通知音、アプリの声、サイトに表示される文字、電話の声、頭の中の声、目の前の人の声。会話以外は全て役者の声でコーラスで重ねていくのが、頭の中でどれも入り混ざるのが伝わりとても良かった。

気持ち的に繋がりたい時に、機械音に『おかけになった電話番号は現在使われておりません。』と言われてしまったり。目の前にいるのに、娘からのFBメッセが気になって『目の前の人と携帯の中の会話、優先度明確でしょ?』家族と離れて暮らして余計感じる孤独や繋がってる事を確かめたい気持はよくわかり、素晴らしい演技、面白い演出でした。

因みに脚本家は韓国人のHansol Jung。私が演出家奨学生だったアリージェンスで、彼女は脚本家アシスタントだったので仲間意識も。でも、彼女は応募してた脚本がシアトルで選ばれて上演されることになったからとブロードウェイを振り切り去っていった天才。3年後にNYのパブリックシアターで評判になって4週間も延長になるなんて、本当に凄いです。韓国人の脚本家としてアメリカで活躍し始めてる彼女に飛び切りの刺激をもらいました!


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