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  • 渋谷真紀子Makiko Shibuya

演出家インタビュー抜粋「ハミルトン」「パリのアメリカ人」

アメリカのStage Directors and Choreographers演出家振付家組合の会報誌18Fall/19Winterより、面白かったことを抜粋。 注:長いインタビュー記事を主観で抜粋しております ■ Thomas KailとAnne Kauffmanの対話

 ハミルトンの演出家トーマス・カイルとアメリカを代表する女性演出家のアン・コフマン、新作を多く手がける二人の対話。沢山あった興奮ポイントから抜粋!



・ スタジオ稽古よりプレビュー期間を長くすること。

 トーマス・カイルが最近の演出家としての変化は?という質問に答えたこと。これ以外にも準備期間の重要性をプロデューサーに理解してもらって、オフィシャルにすること。これは、オン・ザ・タウンやチャーリーとチョコレート工場で振付したジョシュア・ベルガッセ氏他、色々な方が言ってた。給与が出るちゃんとした準備期間・短めのスタジオ稽古・長めのプレビューというのが、クリエイティブチーム的に欲しい環境だと。確かにお金が払われる事を優先せざるを得ないからこそ、準備期間も数年がかりにはなると言うし、それで続かなくなるプロジェクトも多いし、私もそれを痛感する。


・ 二人とも舞台監督や他の仕事を続けていた中で、演出家と名乗り始めるようになった。他からも言われるようステートメント。

 トーマスは、40thストリートにある小さなスペースを任されプロデューサー的なことをしながら、舞台監督・演出部・個人アシスタント等々、色々務め、演出助手としてもかなり優秀で重宝されたそう。その中でも、アメリカンステージカンパニーで働いていた時、メインステージの「ガラスの動物園」のセットを使って、終演後に「誰がために鐘は鳴る」を上演させてくれっとお願いして実現したことがあったそう。アンはテレビ局NBCで秘書をしており、上司の個室が非常に広くランチに毎日2時間でかけるので、その2時間を利用して稽古していいか許可を取り、初めて15分間のフェスティバル用の劇を稽古したそう。どんな機会も逃さない姿勢に、自分の持ち玉を増やさないとと鼓舞される。二人とも、ハロルドプリンス氏のように、プロデューサー視点・舞台監督の経験を踏まえて、演出助手を始めたそう。トーマスは、「出遅れた」という意識がいつも彼を奮い立たせたと話し、とても共感した。出遅れても時間は取り戻せないから、常に自分なりの道を創ろうとするから。


・ ハミルトンにリプレイスメントはない。

 人物の素質をみて選び、見た目等は関係なく、新しい役作りをしてほしいと思っている。それが、ハミルトンがツアー公演や他国で上演されていくに辺りクリエイティブチームで合意したこと。それは、演出に対してもそうで、それぞれのレジデントディレクターが、本質は握った上で、それぞれの視点でハミルトンを上演していく。演出家集団を作ることに成功したのは大きいと答えていた。翻訳版が日本で上演される際も、日本人で創るからこその視点とアウトプットは意識されると思うが、ハミルトンの“演出家集団”ができた。という表現が好き


■ Christopher Wheeldon

 シアターオーブで現在上演中の「パリのアメリカ人」演出・振付。英国ロイヤルバレエ団の芸術アソシエイトも務める彼が、「パリのアメリカ人」の苦労話・ニューヨークバレエ団への移行、今後演劇界とバレエ界、そして映画界の中でどう仕事していきたいかを語った。



・「パリのアメリカ人」映像化は、最も美しくプロセニアム演劇を捉え、作品に忠実な自信作。

 私は機内で観て、舞台の映像化でこんなに美しく流れを感じ、巻き戻しを散々しながら観られて感動した。抽象的表現がとても美しくて大好き。美術デザイナーのボブ・クローリーとパリの街の美しさを再現するのは不可能だから、パリの光と彩りで美しさを表現しようと話したそう。それも含め、踊りの細部まで美しく映像で残せたことは嬉しいと話していた。


・ バレエにも演劇的視点

 ミス・サイゴンの演出家ニコラス・ハイトナー氏の映画「センターステージ」で振付し、舞台「成功の甘き香り」でミュージカル制作の頭から開幕まで経験し、彼の稽古の仕方から多くを学んだそう。シェイクスピアのバレエを作ったのもそれが影響している。ニコラスがやっていたのは、導く先は明確でも、役者に自らその道を探させて自分で辿り着いた感覚を持ってもらうこと。それが、真のモーメントに繋がると。これは、本当にそうだなっと僭越ながら痛感するし、その「真のモーメント」を生み出し、紡ぎ合わせていくために、どう稽古していくかは、一緒に作る人によっても変わるし、その時々で変わるし、試行錯誤しながらその場で生まれていくものを生み出さなければいけないから、その瞬間その人たちとフルコミットして向き合うことが何よりも大事なんだよなあっと改めて思う。私が今外国のオーストラリアでとにかく現場に入れる機会を繋いでもらってるのもそれが起きるのは現場だから。それがどんどん極められていくんだと。

 彼は、ジェローム・ロビンズ氏が、唯一バレエを踊るときに、バレエダンサーに自分は何者かを問うことを求めてきた人だと話す。役者のように、どう自分の踊りやキャラクターに自分自身を使えるか?バレエを通じて自分たちが何者かを問い続けることを求めてきたそう。このような偉人たちの影響を受け、今は演劇界の演出家にひたすら付いて回る勉強の時間を取りたいと話す。「橋からの眺め」でトニー賞受賞したイヴォ・ヴァン・ホーぺ氏や今夏シアターオーブに来日する「王様と私」の演出家バーレット・シェール氏についてみたいそう。英国演出家組合の質問式メンターシップのように、それぞれのステージによって必要な吸収したいことがある。このような一流芸術家もあくなく探究心と挑戦、学ぶ姿勢がある生き抜いていくのが厳しい業界だけど、だからこそ、トーマス・カイルが言ってた「こんなに友達が増えていく仕事は他にはない!作品をやればやるほどって素晴らしい」という姿勢は素敵だと思う。友達。毎日毎日の日課の中で、懐いて絆を作る。「星の王子さま」を最近読み返しているので、そことも繋がった。変わりゆく環境の中で、どうチャンスに変えていかれるかは、自分次第。見方を色々と変えて前に歩いていきたい。


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