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Director's Lab West-ムーブメント・デザイナー・芸術監督

連日、各分野の専門家によるマスタークラス。


1. ムーブメントーメロドラマ編

 今回は、ギリシャ悲劇が課題作品ということもあり、

 18世紀フランスで行われていたメロドラマの手法を体験。

 「メロドラマは、夢のような人生を自然主義で表したものである。」エリック・ベントリー

 歩くところから始まり、

 主に「怒り」「喜び」「被害者妄想」の3軸を湧き起こすエクササイズを実施。

 ドラマチックな音楽に、呼吸の仕方に指導が入り、部屋の明かりがフットライトだけになり、暗闇の面積が増える(人の顔が浮かぶようになる)と、精神世界に各々が入っていくのがとても良く感じられた。


2. ムーブメントーダンスシアター編

 「今日の自己ベストが、未知なる明日に繋がる」

 身体の限界をチャレンジするエクササイズを。とはいえ、2時間だけだったので、創作に入る前のチューニング(自分の身体という楽器を鳴らして調子を整え、他とのリズムを合わせる)でできることを教わる。硬くなりがちな股関節の和らげ方・重心✖️ストレッチ・集団の中で接触する際の柔らかな動き・ペアワークによって自分では想定しない関節の動かし方(ミラー法といって、相手を身体を触って気付く事は、自分の部位にも反映されるそう)等を実施。今まで習得してきた演出家用ムーブメントエクササイズと重なる部分もある一方で、新たにウォームアップとして使えそうなものを幾つか習得!1と共通するMill&Seeth(空間を歩きながら埋めていき、リーダーの様々な指示に従っていく)は、度々出てきて目的別にチューニングされるので、私も色々と活用アイディアが湧いた。


3. デザイナー陣とのスピードデート

 LAエリアの演出家にとっては、チームを組むデザイナーとの出会いの場。美術(プロジェクション)・衣装・照明・音響の4名と、グループお見合い的に、ローテーションでお話。最後に、連絡先交換の機会が与えられる。

 4人に共通してたのは、仕事の話をする前に、まずコーヒーを飲んで、人柄を知る機会が欲しいという事。最初から仕事の話しかしない人は、仕事で衝突してコン詰まった時に、解消しない可能性があるそう。これはよく聞く事だけど、アイディアを詳細に話してくる人も、「それを実行してくれる人を探したほうがいい」とお断りすることも。

 「大胆に!」「軸となるコンセプトや表現したい事さえ伝えてくれたら、後は任せて!言葉にならない想像を超えるその世界を創り出すのが我々の仕事だから。」


4. 芸術監督の仕事(パサドナプレイハウス)

 参加者には、自身でセルフプロデュースする人もいれば、カンパニーを主宰している人、大学の演劇学部の学部長等、様々な立場で芸術監督の機能を果たしている人達がいる。今回、会場となるパサドナプレイハウスの芸術監督、ダニー・フェールドマン氏と、劇場経営についてのディスカッション。

 パサドナプレイハウスは、1937年からカルフォルニア州立劇場。全シェイクスピア作品を上演した実績からだそう。それ以来、地域密着型の劇場として親しまれてきた。しかし、当時は、白人富裕層が住む地域だったのが、現在はラテン系・主に中国系のアジア系アメリカ人が住むように変化した。にも関わらず、その層が楽しめる作品を上演していなかったため、近年破産。現在、立て直しを行なっている。

 観点は、「ダイバーシティ」を実行し、「地元集団を巻き込む事」。実際に、ラテン系やアジア系コミュニティに話を聞きに行き、招待をして観劇のきっかけを作る。出演キャストも、人種を問わずキャスティングする。

 子供向けの演劇クラスは、既にあるので、大人の意識改革を起こすべく、大人向け演劇クラスを提供。実践的な演技クラスだけでなく、「ブロードウェイの歴史に見るアメリカの多文化」といった講義型も。

 さらに、チケット売り場や劇場で働く人たちに、ラテン系やアジア系を雇い始めた。(知り合いが働いていると身近に感じる)

 このような取込は始まったばかりだけど、PRとして「ダイバーシティ」を推さなくても、結果がそうなっている実際に地域に根ざした劇場にしたいと。


 様々なディスカッションが行われた中でも、

・地元のアーティストの雇用が少ない(人気作を上演しようとするとNYの作家で、演出家含め、チームごと来てしまう)

・車利用が前提、観劇のためにココまで来なければいけないので、

 ライブビューイング等で、LAの映画館での上演は検討しないか? また、カルフォルニアのビーチなど、屋外でのライブビューイングも可能性があるのではないか?(劇場まではハードルが高い人にリーチ)

・託児所(働く人も観劇する人も)の設置予定は?

 というトピックは議論が熱くなっていた。


 いよいよ、課題戯曲の「オイディプス王」のシーン作りもグループワークでスタート。得意分野の違うメンバーが揃い、面白くなりそう。(学問分野でギリシャ悲劇の専門家もいれば、ムーブメントの専門家、デバイス創作ワークの専門家や作曲もするソロパフォーマー、役者と演出二輪でミュージカルをやる人など)


今夜も頭が溶け、身体がふやけた… 明日も朝10時からムーブメント!




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