過去の亡霊=影に悩まされたピーターパン作家のJames Barrie。
彼が逃避したい現実(兄の死・仕事のプレッシャー・妻との関係)と逃避先のネバーランドを体験して最後は作家の苦悩に戻ってくる。
彼の書斎に招待され、書き立ての手書き脚本を試しに読んでみて!と。電気があるのは当時金持ちの証。この書斎以外に、幼少期のトラウマがある母が泣き崩れてたソファ、写真、妻と生活しているダイニングテーブルとベッド。この現実世界でどんどん崩れていく。
そこから逃げる空想の世界、ネバーランド。手作り感があるのは、お話を作ってる途中で家の中に自分の想像力を重ねてネバーランドを作ってたから。人魚が出す謎解きに、影の話が出てきたり、ピーターパンがウェンディにお話を読んでというと、Jamesの幼少期のトラウマの話に発展していったりと、空想の中でも、現実に引き戻される瞬間が散りばめられてる。
イマーシブでこのストーリーを体験する方が、より作者視点で感情移入しやすい。ということを頭ではわかる。ただ、観客体験として、何が求められていたのか、最終的に達成感や腑に落ちた感じ、過程でも芸術的に楽しめる部分は少なく、セリフ自体はとても練られて美しかったので、鑑賞型の方でも深く楽しめたのではないかと思う。
やはり、イマーシブで体験させることの必然性やモチベーションを作るのはとても大事だと思った。
ちなみに、私たちがニューヨークでワークショップし、中国で開幕させたピーターパンのイマーシブシアターは、現代の人たちが妖精を信じなくなっているので、ネバーランドの妖精たちが絶滅の危機にある。救いに来て!というのがネバーランドに行くモチベーションでした
Comments